吾輩は猫である〜その1
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓(とん)と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人 […]
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓(とん)と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人 […]
この書生の掌の裏(うち)でしばらくはよい心持に坐っておったが、暫(しばら)くすると非常な速力で運転し始めた。書生が動くのか自分だけが動くのか分らないがむやみに眼(め)が廻(まわ)る。胸が悪くなる。到底助からないと思ってい […]